はじめに
知財若手の会(チザワカ)は、35歳以下・実務経験3年以下・学生を対象に、”若手で語る「知財」”をコンセプトとして活動しています。具体的には、ライトニングトーク(LT)や勉強会、交流企画などを通じて、知財業界の次世代を担う人材の学び・交流・発信を後押ししています。
若手の現状と私たちの役割
知財分野のイベントは高度で実務的な内容が多く、若手にとっては参加や発言へのハードルが高いと感じることも少なくありません。また、ベテラン中心の勉強会も多く、同世代だけで悩みや気づきを共有できる機会は限られています。その結果、「最初の一歩」を踏み出す機会や、ともに歩む伴走者を見つけることが難しく、挑戦が先送りになることもあります。
私たちはそうした壁を取り払い、この「最初の一歩」を踏み出す場を提供することが、若手の自立的な成長を促すカギだと考えています。
これまでの実績と歩み
チザワカは2021年発足以来、これまでに通算26回のイベントを開催してきました。また、 connpassコミュニティに登録している若手は318名に上ります(2025年8月時点)。”若手で語る「知財」”というコンセプトを掲げ、①ライトニングトーク(LT)やディスカッションといった若手が発信・発言する場、②著名な専門家を招いた学びの場、③テーマ別の勉強会からスポーツ交流会まで幅広いスタイルで若手が共に高め合う場を作ってきました。イベントはオンラインを中心に、適宜リアル開催を織り交ぜ、初参加の方でも安心して関われる進行と雰囲気づくりを大切にしています。
また、運営は若手メンバーが担い、35歳を超えたメンバーは次世代へバトンを渡す形で卒業し、常に新しい視点を取り入れて新陳代謝を保っています。
特に、2024年11月に開催した3周年記念イベント(第12回)では、赤松健様(参議院議員・漫画家)、鮫島正洋様(弁護士法人内田・鮫島法律事務所)、角渕由英様(弁理士法人レクシード・テック)、安部剛夫様(ダイキン工業株式会社)にご登壇いただき、会場は約100名満席となる盛況でした。知財の専門的な学びだけでなく、事業・政策・カルチャーの視点も交差させ、若手が視野の広がりを体感できる場となりました。 また、2025年7月の「チザワカ大運動会 presented by IPTech」(第15回)では、スポーツ×交流のスタイルでオンラインでは生まれにくい若手同士の交流を深め、コミュニティならではの熱気を生み出しました。 2025年10月18日には卒業LT会(第17回・予定)を開催します。このイベントは、チザワカの現行体制の集大成として位置づけており、チザワカを今年卒業する方々からキャリアをテーマに発表していただくことになっています。コミュニティで培った経験を次世代へ還元する象徴的なプログラムとなることに期待しています。 私たちの活動は一助にすぎませんが、卒業生の中には、企業や事務所の中核を担い、あるいは起業・副業へと挑戦するなど、自主的・自立的に活躍の場を大きく広げている方が多数います。若手が自分の言葉で発信し、それを受け止める仲間がいるこの関係性が、若手の自信を育み次の挑戦を呼び込んでいると実感しています。
世代交代とこれから
この秋、チザワカは世代交代を迎え、運営も発起人の上村さん(LeXi/Vent代表)から藤原(FujIP弁理士事務所代表)へと代表が引き継がれます。 世代交代により、常にフレッシュな若手目線を維持し、時代に合わせた企画を柔軟に展開していきます。改めて明確にしておきたいのは、チザワカの理念は不変であるものの、次期運営はそれを再解釈し、試行錯誤を重ねながらアップデートしていくという点です。
次期運営では、以下の3つの基本方針「A.M.P.」を組み合わせ、若手の活躍をAmplify(拡大)します。
自らの考えを発信したい若手が挑戦できる場として、LT・執筆などの場を提供します。
同世代の仲間や少し先を行く先輩の考え方に触れる機会を創出し、一人ひとりの自主性・自立性・挑戦心といったマインドを育む場を提供します。
最先端の実務やマネジメントに取り組む先生方に登壇いただき、若手が集い共に学び・実践する場を提供します。
最後に
チザワカがここまで歩んでこられたのは、スポンサーの皆様、登壇いただいた先生方、参加者一人ひとりのおかげです。 私たちの出発点は、設立当初から変わりません。その使命は、若手が安心して集い、学び、発信できる場であり続けることです。「ここで培ったマインド・発信力・ネットワークが、やがて企業や事務所の中核を担う存在となり、あるいは経営者になるなど、個々の自己実現へとつながっていく。」そうした好循環を、次世代へと連鎖させていきます。
知財の未来を担う若手たちの挑戦に、ぜひご注目ください。

メーカー勤務の弁理士として、製造業の研究・開発現場における知的財産の調査・分析や事業化支援に携わる。
メーカー勤務の傍ら、FujIP弁理士事務所を設立。
意匠・特許の知財実務だけでなく、知財情報を活用した新製品開発支援を得意とする。
若手知財コミュニティ「知財若手の会」の次期代表として、知財業界の繋がり作りにも注力している。

岡崎弁理士事務所 代表弁理士/CRINC合同会社 CEO
商標・著作権・知財価値評価を専門とし、企業やクリエイターのブランド構築・権利活用を支援している。
弁理士会著作権委員会などにも所属し、セミナーや若手知財コミュニティの活動を通じて、知財の社会的価値を広める取り組みを行っている。

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