はじめまして、こんにちは。なほと申します。
私は現在、大手家電メーカーの知的財産部にて、通信SEP(標準必須特許)の権利化業務を担当しています。
外国特許制度の理解や英語、5G通信技術の学習など、日々学びの多い時間を過ごしています。
現在の仕事にたどり着くまでには、少し変わったキャリアの変遷や回り道、興味の移り変わりがありました。
今回、執筆のお声がけをいただいたことをきっかけに、これまでの歩みを振り返りながら、「やりたいことを続けていたら、気づけば知財の世界にいた」という私の経験をお話しできればと思います。節目ごとにどのような選択をし、何を考えてきたのかという視点からご紹介します。
まだまだ道半ばの一知財部員の記録ではありますが、若手の皆さまの参考になれば幸いです。
高校時代
理系科目が好きで、特に実験やレポート作成が得意でした。一方で歴史などの文系科目にはあまり興味が持てず、偏りのある学生でした。
当時は学校の先生に憧れており、理科の教員を漠然と目指していました。
大学を選ぶ際には、「脳の研究をしたい」と思い立ち、インターネットで理系研究の盛んな大学を調べたところ、科研費の多い私立単科大学を見つけ、ほとんど他を検討しないまま進学しました。今振り返ると、視野が非常に狭かったと思います。
大学時代
授業はなるべく一番前で受け、興味を持って聞いていましたが、テスト勉強は前日に詰め込むこともしばしばでした。
サークルや部活を掛け持ちし、趣味やアルバイト(集団塾の理科の講師)にも熱中しながら、忙しくも充実した日々を送っていました。
そんな中で出会ったのが、特別講義の「知的財産」の授業でした。
教室には5人ほどしか学生がいませんでしたが、「形のないものに価値を与えるなんて、知財ってなんだかおしゃれだな」と感じ、深く印象に残りました。そのときの特許庁制作の教材は、今も大切に保管しています。
卒業研究では、有機合成化学の研究室を選びました。危険な試薬を扱いながら反応式を書き、毎日実験と勉強に明け暮れました。教育実習や大学院入試も重なり、大学生活では最も勉強した時期でした。
その後、より臨床に近い研究を志し、有機合成で医薬品を創る研究室のある国立大学大学院へ進学しました。
大学院
周囲の優秀な先輩方に刺激を受け、いわゆる“意識の高い学生”になりました。
終電まで実験を行い、休日も研究に没頭。並行して先輩の影響でビジネス書を初めて読むようになり、また、知財管理技能検定2級を取得するなど、興味の幅を広げていきました。
修士課程中には特許事務所を見学し、「新卒で入るより、まず技術を磨こう」と考えました。
その一方で、「やはり理科の先生になりたい」という気持ちもあり、博士課程に進学を決意しました。博士課程では発表の機会も多く、プレゼン資料作成スキルが飛躍的に向上しました。
やがて、「実験は楽しいけれど職業として続けるのは違うかもしれない」「PC一つで成り立つ仕事に憧れる」と思うようになり、システムエンジニアへの道を志しました。ITパスポートを取得し、遅れてスタートした就職活動の末、第一志望のIT企業でアプリ開発のシステムエンジニアとしてキャリアをスタートさせました。
IT企業
入社した企業は人材育成に力を入れており、基礎・応用に分かれた研修や、チームでいかだを作る合宿など、多彩な経験を積みました。
配属後は、製薬企業向けの業務システム開発を担当。社内の勉強会にも積極的に参加し、充実した毎日を過ごしました。
しかし、コロナ禍で在宅勤務が始まり、生活が一変しました。
朝と夜に少し余裕ができ、自分の将来についてじっくり考える時間が増えました。
自己分析を重ねるうちに、学生時代に抱いた「知財への憧れ」を思い出しました。
知財のスキルを身につけるには明細書作成が重要、ベースとなるのではと考え、特許事務所への転職を決意。事務所分析を重ね、第一志望の大手事務所から内定をいただきました。
(余談ですが、人生の伴侶となるパートナーともこのIT企業で出会いました。)
大手特許事務所
特許事務所での約3年間は、毎日が濃密で、温かい人々と出会い、学びと感動にあふれた時間でした。
明細書の指導を2人の上司から丁寧に受け、毎回のフィードバックが宝物のようでした。
また、前職のSE経験を評価していただき、制御案件を中心に担当。AI活用プロジェクトにも参加させていただきました。
発明ヒアリング面談では最初ガチガチに緊張していましたが、OJTを通して少しずつコツをつかみ、人としても成長できたと感じます。経済的な事情に加え、より多角的な知財スキルを磨きたいという思いから、企業知財への転職を決意しました。
エージェントから「標準必須特許の経験は希少で価値が高い」と聞き、ちょうど別でスカウトをいただいたこともあり、現職へ進みました。
大手家電メーカー知財部
通信SEP部門に入り、まず驚いたのは、少数精鋭で膨大な案件を処理していることでした。
外国特許制度を学び始めながら実務をこなす日々は、大変でしたが、1年経ってようやく少し慣れてきました。
特に5G通信技術の理解は難しく、これまでの化学やITとはまた違う壁に直面しています。
英語力も課題ですが、弁理士試験で結果を出せた後、頑張りたいと思っています。現在は、発明者・特許事務所との発明ヒアリングの主担当を務め、面談対応やクレームチャートの内容確認を担当しています。
また、他にも、部門では、ライセンス交渉やパテントプール向けの鑑定資料用意など、業務領域は幅広く、今後も経験を積み重ねていきたいと考えています。
小休止
取り留めのない話になりましたが、これが私の等身大のキャリアです。現在は5G通信技術と向き合いながら、弁理士試験の勉強に励んでいます。これまでの経験を活かし、自分らしい道を模索し続けています。
ポイント
約20年弱を振り返ると、その時々で興味の対象は変わっても、いつも夢中で全力で取り組んできた点は共通していました。
スティーブ・ジョブズの言葉を借りるなら、“コネクティング・ザ・ドッツ”は後からでもできる。
だからこそ、先回りしすぎず、遠回りであっても無駄なことは何一つないと信じています。
研究・技術開発の経験を経てから知財業界に入ることで、発明者との対話がより深くなり、知財の本質理解にも役立つだけでなく、業務の幅も広がると思います。
若い方々には、ぜひ研究開発を通じて技術をご自身の肌で体感してから知財の道に進んでほしいと思います。
まとめ
まだまだ道半ばの一知財部員ではありますが、知財業界で活躍できるよう努力を続けていきたいと思います。弁理士資格を取得し、自分らしいキャリアを築くべく精進してまいります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

音楽とドライブが好きです。

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