「知財のキャリアって、どう築けばいいんだろう?」 「異動や配置転換で、自分のキャリアがバラバラになるんじゃないか…」
そんな不安を抱えている若手の方も多いのではないでしょうか。
実は私も、まったく同じ悩みを抱えていました。バイオの研究者を目指していたのに、気づけば知財部へ。「このキャリア、大丈夫なのか?」と不安でいっぱいでした。
こんにちは。株式会社LeXi/Ventの代表で、「知財若手の会」の運営代表をしていた者です。
普段は化学メーカーで知財の仕事をしながら、副業で特許情報分析のコンサルタントをしたり、「すごい知財エキスポ」のイベント企画・運営マネージャーを務めたりしています。
大学では情報とバイオを学び、「バイオ研究者になりたい!」と思っていたのですが、気づけば知財の世界へ。予期せぬキャリアの転換を何度も経験しながら、今ではメディア「Growing IP (Grip)」も運営しています。
この記事では、そんな私のキャリアの軌跡を率直にお話しします。
今振り返ると、その「予期せぬ転換」こそが、私のキャリアを豊かにしてくれたんです。
この記事では、化学メーカーでの現場研修から知財部への異動、「知財若手の会」の立ち上げ、そして法人化に至るまでの道のりを率直にお話しします。
キャリアは、計画通りにいかなくてもいい。 大切なのは、出会いを活かし、内省を重ねること。
そんなメッセージが、少しでも皆さんの明日への一歩になれば嬉しいです。
バイオとデータサイエンスから始まったキャリア
私の社会人キャリアは、国立の工業大学からスタートしました。大学では情報とバイオ(生命科学工学)を研究し、特にタンパク質工学に打ち込み、大学院まで進みました。
就職活動では安定志向から化学メーカーを志望。最終的に有機化学に強みを持つメーカーに入社しました。
入社1年目は、有機合成の製造所で半年間の現場研修。3交代勤務をこなし、ドラム缶を転がしたり、釜に有機化合物を投入したり…製造現場の厳しさとプロセスの奥深さを、身をもって学びました。
予期せぬキャリア転換:マテリアルズ・インフォマティクスの世界へ
1年間の現場経験を経て、いよいよ本命のバイオ研究部門へ…と思いきや、配属の席は同期に取られてしまいました。
私が配属されたのは、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)や化学計算を行う研究開発支援の部門。正直、「これは望んでいた道じゃない…」という思いもありました。
でも、ここでの2年間が、私のキャリアの土台を作ってくれたんです。
Pythonプログラミング、データ分析、機械学習、自然言語処理——この3つを徹底的に学びました。技術が少しずつ身につき、「これはこれで面白いかも」と思い始めた矢先、再び転機が訪れます。
知財部へ、また予期せぬ異動
2年後、組織改編で知的財産センターが知財部に昇格。当時の知財部長が推進していたIPランドスケープ(知財情報を活用した経営戦略分析)のため、「若くてデータ分析ができる人材」として、私は知財部に引っ張られることになりました。
せっかくプログラミングやデータ分析のスキルが板についてきたところでの異動。
「またキャリアがぐちゃぐちゃにされるんじゃないか…」
そんな不安でいっぱいでした。
知財の面白さに目覚めた瞬間
知財部に異動した当初は戸惑いもありましたが、外部のブログでIPランドスケープの事例を読んだとき、衝撃を受けました。
「知財情報から、ここまで深い仮説が組めるんだ!」
その面白さに、少しずつ引き込まれていきました。
ところが、そのIPランドスケープを推進していた部長が退職。社内での取り組みは失速し、「このままでは元の部署に戻されて、中途半端なキャリアになるのでは…」という不安がよぎりました。
「このまま終わらせたくない。もっと知財を極めたい。」
そう思った私は、転職を決意しました。
知財キャリア1年半での転職活動
転職活動は、想像以上に厳しいものでした。知財キャリアが1年半という短さから、エージェントにも「正直、厳しいのでは」と言われる始末。
それでも諦めず、条件を満たさない企業にも果敢にエントリー。結果、別の化学メーカーから内定をいただき、再びIPランドスケープに携わる機会を得ることができました。
「知財若手の会」誕生のきっかけ
転職後、私は知財業界にある「ある違和感」を感じていました。
それは、若手が集まって活発に交流する勉強会が少ないこと。業界はベテランの方々が動かしていて、若手は「勉強する側」に徹するという空気がありました。
「それなら、自分で場を作ってみよう」
そう思い、「刺さる特許分析勉強会」を立ち上げました。
ところが、その場でベテランの方にやり方を否定される経験をしました。悪気はなかったと思いますが、「これでは若手が自由に活動しにくい…」と感じたんです。
「若手が安心して交流し、学び合える場を作りたい。」
この想いが、後の「知財若手の会」設立につながりました。
ちょうどコロナ禍ということもあり、オンラインで活動を開始。私たち若い世代が求めていた交流とコミュニティの場として、少しずつ広がっていきました。
📈 副業、そして法人化へ
「知財若手の会」での活動を通じて、副業で成功している方々と出会いました。その姿に感化され、私も自立心を持って働きたいと思うようになりました。
まずは知財塾のアシスタントから始め、その後、特許事務所のブランディングや動画制作支援の依頼もいただくように。本業の社内規定に則って副業申請を行い、現在は特許情報分析のコンサルタントとして活動しています(競合他社以外の仕事に限定)。
また、オンライン展示会「すごい知財エキスポ」のイベント企画・運営マネージャーも務めています。
そして2025年5月、ついに株式会社レキシベントを法人化しました。
キャリアを形成したもの:出会いと内省
これまでの道のりを振り返ると、私のキャリアは「予定外」の連続でした。
バイオ研究者を目指していたのに、気づけば知財の世界へ。でもその過程で出会った人たち、学んだスキル、そして何より「自分はどうありたいか」を考え続けたことが、今の私を作ってくれました。
私のキャリアの根幹にあるのは、大学で培った情報分析への興味と、部活動などで経験した企画・運営への意欲です。そして何より、人との出会いと対話を通じた内省です。
特に30代以降、キャリアへの悩みは少なくなりました。それは、様々な人に会い、自分の悩みや思いを話し、返ってきた言葉を噛み砕いて自分に取り入れるというプロセスを繰り返してきたからだと思います。
最後に:若手の皆さんへ
キャリアは、必ずしも計画通りにいくものではありません。
異動や配置転換で「これでいいのか?」と不安になることもあるでしょう。でも、その「予期せぬ道」が、思わぬ可能性を開いてくれることもあるんです。
大切なのは、出会いを大切にし、対話を重ね、自分と向き合い続けること。
この記事が、知財業界で働く若手の皆さんの、少しでも励みになれば嬉しいです。
一緒に、これからのキャリアを楽しんでいきましょう!

株式会社LeXi/Vent 代表取締役
化学メーカーでマテリアルズ・インフォマティクスなど機械学習の研究開発に従事後、知的財産部で特許情報分析(IPランドスケープ)を従事。その後現職では、IPランドスケープ専任で知的財産戦略、テクノロジーインテリジェンス、知財人材教育に関する業務を行なっている。同時に副業で個人事業「LeXi/Vent」を設立し、士業・コンサルタントのブランディング支援を行いながら、「知財若手の会」コミュニティを運営。

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