弁理士実務の現場から学ぶ「新人育成日記」〜特許・商標・AI発明・拒絶理由対応まで〜②

弁理士の仕事は、法律知識だけでは完結しません。

発明を理解する力、ブランドを守る視点、先行技術を調査する力、拒絶理由に対応する判断力、そしてクライアントの事業を理解する姿勢が求められます。

この連載では、日々の実務を通じた新人育成の様子をもとに、特許・商標・知財実務の現場でどのような学びがあるのかを紹介します。

テーマは、先行技術調査、生成AI利用発明、緊急商標出願、拒絶理由通知、審査官面談など。

実務の中で新人が何を学び、どのように成長していくのかを、できるだけ分かりやすくまとめていきます。

知財業界を目指す方、弁理士試験受験生、企業知財部の方、若手実務家の方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

目次

出願前先行技術調査は「軽め」でも絶対に大事

特許出願の依頼を受けたとき、まず大切になるのが先行技術調査です。

「新しいアイデアだと思っていたけれど、実は似たような技術がすでに出願されていた」

これは特許実務では珍しいことではありません。

そのため、出願前には必ず先行技術を確認します。

もちろん、案件によって調査の深さは異なります。

本格的な無効資料調査のように徹底的に調べる場合もあれば、出願前の初期確認として、比較的軽めに調査する場合もあります。

しかし、たとえ軽めの調査であっても、非常に重要です。

特に大事なのは、「ドンピシャの先行文献がないか」を確認することです。

もし発明の主要な構成がそのまま記載された特許文献が見つかれば、出願方針を見直す必要があります。

逆に、完全に同じ文献が見つからなければ、次に考えるべきは差別化ポイントです。

既存技術と比べて、どこが違うのか。

その違いによって、どのような効果が生じるのか。

その効果は明細書にしっかり書けるのか。

ここを整理することで、出願書類の質が大きく変わります。

新人に先行技術調査を経験してもらうことは、とても良い訓練になります。

なぜなら、調査を通じて技術分野の全体像が見えてくるからです。

どのような課題が過去に検討されてきたのか。

どのような解決手段が提案されているのか。

競合他社はどのような出願をしているのか。

これらを知ることで、発明の位置づけを理解しやすくなります。

また、調査は「検索式を作って終わり」ではありません。

キーワードを変え、分類を確認し、引用文献をたどり、近い文献を比較する。

このプロセスを通じて、特許文献の読み方も身についていきます。

出願前調査は、単なるリスク確認ではありません。

より強い権利を作るための準備でもあります。

新人には、調査を通じて「発明を客観的に見る力」を身につけてほしいと思います。

まとめ

出願前先行技術調査は、たとえ軽めであっても重要です。

ドンピシャの先行文献がないかを確認し、既存技術との差異を整理することで、より良い特許出願につながります。

新人にとっても、技術理解と特許文献読解力を養う絶好の機会です。

中村 忠則

弁理士法人NTの代表弁理士です。NTはNew Typeの略称です。イニシャルもかけています。 ホームページで平日は知財関係ブログ作成を日課にしてますので、是非ご覧ください。

日本弁理士会の知財支援センターと関西会の知財普及・支援委員会で小学生〜大学生まで知財授業やパテントセミナーをして、弁理士普及活動頑張ってます!!

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