まえがき
先日、知財若手の会にて「著作権をもっと身近にしたい!」というテーマで発表させていただきました室谷です。専門知識をどう伝えていくかという点で、少しでもお役に立てればと思い、本記事を執筆いたしました。
まずは簡単に自己紹介させていただくと、私は以前、特許事務所で主に商標を担当していました。その頃から、専門知識をどうしたら分かりやすくお客様に伝えられるのだろうか、と考えることが多くありました。
ご縁があり転職し、現在は学術著作権協会にて主に広報を担当しています。
学術著作権協会ってそもそも何をしている団体?と思われる方もいらっしゃるかと思いますので、少しだけご説明させていただきます。
学術著作権協会とは?
学術著作権協会(JAC)は、日本の各分野を代表する学会である、日本工学会、日本歯科医学会、日本農学会、日本薬学会、日本医学会の5学会の協力のもと設立した文化庁登録の著作権等管理事業者です。
主に学術分野に関わる国内外の著作物の権利を権利者のみなさまからお預かりしています。
お預かりした著作物については、複製や転載に加え、生成AIにおける利用にも対応したライセンス(JACデジタル著作権利用許諾契約)などを提供しています。
このように、企業活動や研究活動の場をはじめとして、著作物を利用したい方が安心して利用できる環境を整え、権利者と利用者をつなぐ役割を担っています。
当協会について、詳しくはこちらをご覧ください。
普及啓発活動について
では、本題の普及啓発活動についてお話しさせていただきます。当協会では、各種ライセンスの提供により、著作物の円滑な利用と適切な対価還元に努めることと並行して、著作権コンプライアンスの周知を目的に、普及啓発活動を行っています。こうした活動を通じて、著作権をより身近に感じていただくことを目指しています。本稿ではその中でも、SNS運用に関して私の試行錯誤についてご紹介します。
SNS運用の試行錯誤
当協会では、YouTubeとnoteを用いて著作権に関する情報発信を行っています。
YouTube:学術著作権協会 公式チャンネル – YouTube
note:一般社団法人 学術著作権協会|note
YouTubeでは解説動画を、noteではそれと連動した記事やストーリーを発信しています。本稿ではその中で、どのような工夫をしてきたのかをご紹介します。
①視聴のハードルを下げる
まず1つ目は、視聴のハードルを下げることです。
著作権は、誰もが関わるルールである一方で、
- 難しそう
- 自分には関係なさそう
という印象を持たれやすい分野でもあります。
そこでアニメーション動画を制作し、キャラクター同士の会話形式にすることで、少しでも「理解する前の抵抗感」を下げるように工夫しました。
②ターゲットの細分化
2つ目は、ターゲットの細分化です。
不特定多数に向けてではなく、会社員や教員など、想定視聴者ごとにペルソナを作り、動画内容やタイトル、概要欄を工夫しました。
③継続して見てもらう
3つ目は、継続して見てもらうことです。
YouTubeだけで終わらせず、noteと連携し、キャラクターのストーリーも展開しました。単発の「知識提供」ではなく、継続的な接点を持つことで、少しずつ関心を育てていき、著作権を身近に感じてもらえればと思っています。
結果について
実際に取り組んでみると、アニメーション形式の方が比較的見ていただけている傾向がありました。一方で、まだまだ多くの方に届いているとは言えず、コメントなどの反応がないことも今後の課題です。
たくさんの方に著作権に興味をもってもらうには?
試行錯誤を通じて感じているのは、人々は「著作権」に興味があるというより、「この使い方は引用になるか」 「SNSにこれを載せていいのか」といった、自分のやりたいことへの悩みに関係する情報に関心を持つのではないかということです。
また、専門家が伝えたいことと、一般の方が知りたいことにはギャップがあるため、発信の際は、専門家目線でなく受け手目線で考えることを大切にしております。
その他、コンスタントな発信や、視聴者との双方向のコミュニケーションも重要なのではないかと考えています。
その他普及啓発について
当協会では、SNSでの発信以外に、企業や研究機関向けのセミナーやシンポジウムを開催しております。
また、ご依頼に応じて、著作権に関するセミナーを実施しております。
当協会が今までに実施した普及啓発活動について、詳しくはこちらをご覧ください。
さらに、直近では7月9日(木)13:30~14:50に、企業向けに無料の著作権セミナー
「生成AI時代のビジネス加速戦略~導入効果を最大化するために必要な著作権ライセンスおよびソリューション~」
を開催いたします。
生成AIの活用が進む中、安心してビジネスに活用するためには、著作権への正しい理解が不可欠です。
著作権ライセンスは、単なるリスク回避のための手段にとどまらず、安心してコンテンツを活用し、事業を前に進めていくための基盤となるものです。
本セミナーでは、企業が生成AIを活用しながらビジネスを加速させるために押さえておきたい著作権の考え方と実務対応について、わかりやすく解説いたします。
詳しくは、当協会HPお知らせページまたはフライヤーをご確認ください。
あとがき
今回、知財若手の会での発表をきっかけに本記事を執筆させていただきました。質疑応答ではさまざまなご意見をいただき、大変貴重な機会となりました。SNSでの発信はまだ試行錯誤の段階ですが、今後も著作権をより身近に感じていただけるよう取り組んでいきたいと思います。

メーカー勤務の弁理士として、製造業の研究・開発現場における知的財産の調査・分析や事業化支援に携わる。
メーカー勤務の傍ら、FujIP弁理士事務所を設立。
意匠・特許の知財実務だけでなく、知財情報を活用した新製品開発支援を得意とする。
若手知財コミュニティ「知財若手の会」の次期代表として、知財業界の繋がり作りにも注力している。




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