マイマネージメントNo.2

 弁理士法人NTの中村忠則です。私は、全く知財経験がない状態で弁理士資格を取得し、38歳で転職。12年間、弁理士法人R&Cに勤務後、2024年4月に弁理士法人NTを開業しました。

 2期目が順調に進んでおりますので、私の事務所経営についてまとめてみたいと思います。

目次

目次

(第一回)

  1. 身の丈に合った成長を図る
  2. 全業務を自分で経験する

(第二回)

  1. 納期を前倒す
  2. クライアントの信頼を得る
  3. 売上を予測する

(第三回)

  1. 売上を活用する方法のリソース(ヒト)最大化
  2. 「売上を活用する」方法のリソース(モノ、カネ)最大化
  3. リソース(カネ)のPDCAサイクル

(第四回)

  1. リソース(ヒト)の最大化を図るための心構え
  2. 仕事量を増やす
  3. 生成AIとの向き合い方
  4. 特許事務所の社会貢献

1-2.納期を前倒す

 前回は私が実行した事務所経営の準備期間として内向きベクトルの記事を書きましたが、今回は開業2か月目以降の収益を得るための外向きベクトルの記事を書きます。

 開業1か月で事務所経営の下地を作ったので、2か月目以降は仕事で収益を得るための動きをしていきます。この動きはクライアントとの信頼関係に大きく関わるための外向きベクトルであり、致命的な失敗は許されません。私はこの致命的な失敗を事前に回避するために、12年間勤務弁理士として働いて経験を積みました。弁理士資格を取得してすぐに独立する方もいらっしゃいますが、致命的な失敗を回避することは弁理士としての実務経験値に左右されますので、お勧めしません。

致命的な失敗を事前に回避するためには、納期の前倒しが必須です。納期を前倒しすることにより、緊急的な依頼にも対応できますので、クライアントから信頼感や安心感を得られます。もちろん成果物の品質を確保することが大前提ですので、そのためにも弁理士としての実務経験値が求められます。私は、10年間弁理士として特許事務所での実務経験がなければ、何れ歯車が狂い始め、事務所経営を安定させることができないと思います。

 2か月目以降から弁理士としての本業の依頼が徐々に増え、クライアントとの深い関係を築くことで仕事が増加していきます。一人でできる業務量には限界がありますので、概ね6か月~1年ぐらいで従業員を採用する動きをするフェーズに入ります。

1-3.クライアントの信頼を得る

 「クライアントの信頼を得る」には、担当者やその上司、経営層が弁理士に何を求めているのかを、コミュニケーションを取りながら相互理解を深めることが最も重要です。コミュニケーションというからには双方向である必要があります。相手方から一方的な提案を受けるだけでも駄目ですし、弁理士の担当業務について一方的に押し付けることも駄目です。

 弁理士という職業は、知的財産権に関する様々な仕事がありまして、出願系や審判系といった高度な行政手続業務から、鑑定や訴訟といった係争業務、知財活用支援や知財調査・分析といったコンサルタント業務と多岐に亘ります。ですので、クライアントに知財の基礎からレクチャーして、事務所への外注部分を抽出したり、時には全ての業務において伴走支援したりすることが必要です。

 私の場合、一人で開業しましたので、「クライアントの信頼を得る」ために、半年~1年かけて地道にコミュニケーションを図り、クライアントが困っていることを抽出し、その解決方策を議論して最適解を導き出し、クライアントにマッチした私のスタンスを固めます。そのためには、行政手続業務しかできない弁理士では困りますので、様々な知的財産権に関する提案、考察ができる弁理士としてレベルアップを図る努力をこれからも続けます。

2.売上を予測する

 弁理士業務の売上として依然大きなウエイトを占めるのが行政手続き業務です。その中でも、開業したばかりのときは、外国出願業務や3年後の中間処理業務が生じる種となる新規特許出願の明細書作成業務が大切です。新規特許出願は比較的高額なので、クライアントの経営状況も把握したうえで、クライアントの成長曲線や規模に応じた最適な提案をしていくことが重要です。

 新規特許出願は、クライアントにとって効果が直ぐに露呈しない高額な先行投資となりますので、クライアントが特許を取得することで、どう活用していくのかを提案することも大切です。知的財産権のような無形財産は有形財産と異なり、年間販売個数に販売価格から仕入原価等を差し引いた1個当たりの利益を掛け算して収益予測を立てられませんので、クライアントのコア技術を成長させるエンジンとして無形財産を長期的収益源として捉えます。そのために、無形財産を取得することで、コア技術を模倣されることを防止し、コア技術を生かした事業分野への新規参入を防ぐ障壁としなければなりません。

 私の場合は、まず、お付き合いが始まったクライアントのコア技術を把握し、周辺特許調査や分析を行い、どのような用途や改良技術であれば、参入障壁を築けるかをクライアントと一緒に検討します。検討している間にも、当然必要な特許出願を行いながら、参入障壁特許を取得するには、年〇〇件の特許出願が必要となるから、弊所の場合は、行政手続き業務に年××円の収入が得られると仮定します。そして、この行政手続き業務が売り上げの8割を占めると仮定して、今年度の売上を予測しています。

 次年度以降は、年〇〇件の特許出願を実現しながら、他の領域(コンサルタント業務、係争その他業務)も依頼されるような信頼関係を構築することにより、行政手続き業務のウエイトを下げることで、自ずと売上が上昇します。この地道な経営を行うことにより、売上が毎年上昇し、大きな浮き沈みなく、気が付いたら目標が達成できている若しくは目標を大きく上回っているのだと思います。

中村 忠則

弁理士法人NTの代表弁理士です。NTはNew Typeの略称です。イニシャルもかけています。 ホームページで平日は知財関係ブログ作成を日課にしてますので、是非ご覧ください。

日本弁理士会の知財支援センターと関西会の知財普及・支援委員会で小学生〜大学生まで知財授業やパテントセミナーをして、弁理士普及活動頑張ってます!!

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